一行はザカーズ皇帝の賓客としてマロリー軍野営地で約一週間ほどを過ごした。どういうわけか皇帝はセ?ネドラ王女らといることに、ものうい喜びを抱いているらしかった。皇帝の一族だけが住まう、絹製の大天幕や天幕の迷路のなかにかれらは居室を与え公開大學 課程られ、さまざまな生活の便宜は他ならぬザカーズ自身より与えられていた。
 セ?ネドラはこの不思議な、憂うつな目をした人物がよく。ふだんのザカーズは丁重そのものの礼儀正しい人間だったが、ゲゼール王との会見のもようが彼女を怯えさせていた。どんなときでも平静を失わないことが、その冷酷さをいっそう恐ろしく見せていた。かれは決して眠らないようだったし、しばしばま夜中に話し相手が欲しくなると、セ?ネドラを呼びにやった。だが皇帝は王女の眠りを乱したことを決して詫びることはなかった。深夜の呼び出しが、相手にとって迷惑かどうかすらも念頭に浮かばないらしかった。
「ローダー王はいったいどこで軍事的な教育を受けたのかね」ある晩、いつもの深夜の会見でザカーズがこうたずねた。「わたしの集めたいかなる情報でも、かれが軍事的才能に恵まれていることを示すものはないのだ」柔かい椅子の紫色のクッションに身を沈めた皇帝の顔に、ろうそくの黄金色の光がおどり、猫はかれのひざの上でまどろんでいた。
「わたしにもわかりませんわ」セ?ネドラ王女は、到着後まもなく与えられた白っぽいシルクのガウンのすそを何げなくもてあそびながら答えた。「わたしがローダーに初めて会ったのは、去年の冬ですもの」
「じつに不思議だ」ザカーズは考えこむように言った。「われ公開大學 課程われはこれまで、かれのことを若い妻を溺愛しているだけの愚かな老人だと思っていた。まさかあれほどまでの脅威になるとは夢にも思わなかったのだ。われわれの関心はもっぱらブランドとアンヘグにあった。ブランドは良き指導者となるには控え目すぎるし、アンヘグにいたっては突飛すぎて、いずれもさほどの懸念にはなるまいと考えていた。それなのに突然、降ってわいたごとくローダーがあらわれ、すべてを牛耳ってしまったのだ。まったくもってアローン人というのは、不可解な連中だ。感じやすいトルネドラの少女が、よくあんな連中に耐えられるものだな」
 王女は短くほほ笑み、「あの人たちなりに良さはありましてよ、陛下」とさかしらな口調で答えた。
「ベルガリオンはどこにいるのだ」何のまえぶれもなく、皇帝はたずねた。
「わたしたちにも、わからないのです」セ?ネドラはあたりさわりのない言葉を返した。「レディ?ポルガラはベルガリオンが黙って行ってしまったのでひどく怒っていましたわ」
「ベルガラスとケルダーが同行している」ザカーズがつけ加えた。「かれらが何らかの探索の旅に出たのだという噂だ。ところで教えていただきたいのだが、ベルガリオンがクトラグ?ヤスカを携行している可能性はあり得るかな」
「クトラグ?ヤスカですって?」
「あの燃える石のことだ――きみたちは〈アルダーの珠〉と呼んでいる」
「それについては、わたしの一存で話すことはできま公開大學 課程せん」王女はつんとして答えた。「陛下はわたしから無理やりそれを聞き出すほど失礼な方ではないと思いますけれど」
「セ?ネドラ王女」ザカーズは非難するように言った。
「ごめんなさい、陛下」王女はすぐに謝ると、とっておきの少女らしいほほ笑みを浮かべた。
 ザカーズは優しくほほ笑んだ。「まったく油断のならないお嬢さんだ」
「ええ、そうですわ」彼女は言った。「ところで陛下は、なぜ積年の恨みを捨てて、タウル?ウルガス王と手を組む気になられたのですか」セ?ネドラは自分だって相手を驚かせる質問ができることを見せつけてやりたかった。
「別に手なぞ組んでなどおらんよ」かれは答えた。「わたしは単にタウル?ウルガスの動きに応えただけのことだ」
「よく意味がわかりませんわ」
「かれがラク?ゴスカにとどまっている限り、わたしもタール?ゼリクにとどまっているつもりだった。だがかれが北へ兵を出したとわかった以上、わたしとしても応えざるを得なかった。タールの地は西の諸国にあけわたすには、あまりに戦略的に重要性の高い土地だったからな」
「それで今はどうなの?」セ?ネドラはいささかぶしつけにたずねた。「タウル?ウルガスは死んで、今度は何を敵にまわすおつもり?」
 かれは冷たいほほ笑みを浮かべた。「どうも、あなたはわたしたちのことを理解していないようだ、セ?ネドラ。タウル?ウルガスはマーゴ人の狂気の象徴にすぎない。クトゥーチクが死に、タウル?ウルガスが死んでも、マーゴ国は生き続けるのだ。ちょうどわたしが死んでもマロリーが続いていくように。われわれ二国間の対立は永却の昔より続いてきたのだよ。そして今、ようやくマロリー皇帝が最終的にアンガラクの大君主となる日がきたというわけだ」
「それじゃ、すべて権力のためだとおっしゃるの」

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